探偵少女
 知由は言いながら考え込む。


 そしてあることを思い出した。


「あの質問は間違えたな……」
「あの質問って?」


 知由は自分の間違いを説明するのは気が引けたが、逃れられるものでもないと諦める。


「朝原晴真に『城井深雨をどうしたいのか』と……ストーカーだと思っていたから、注意したいのか、吊るしあげたいのか……」
「相変わらず怖いなあ」


 そうは言うものの、滋は笑っている。


 知由は頬を膨らませ、まるでさっきと立場が入れ替わったようだ。


「焦ったのだ……先手を打たねば、手遅れになると……考えが甘かった」


 滋と話しているからか、知由は昔の口調に戻っている。


 普段は大人びて見える知由だが、昔馴染みといると、年相応、もしくはそれよりも幼く見えるらしい。


 あの親にしてこの子あり、と思いながら友奈は会話を聞き続ける。


「まあ、その直感は間違ってなかったんじゃない? 朝原晴真くんの興味が芸能界に向いたころに、その子が彼のことが気になりだしてーみたいな感じらしいから」
「じゃあ、本当にストーカーってこと?」


 滋ははっきりと頷く。


 自分が間違っていなかったと知り、安心しながら、そこまでの情報を集めた滋を恐ろしく思った。
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