探偵少女
「すごいな、滋は。いったいどこから、それだけの情報を?」


 滋は人差し指を自分の唇に当てる。


「内緒。いくらみさきちゃんでも、僕の情報網は教えられないよ」
「ケチ。まあ、滋の情報網、私は持て余しそうだから、別にいいけど」


 諦めたように言っているが、不満そうに見える。


「三崎、滋さんの言うことなら大人しく従いそう」


 混ざれない会話が終わって、友奈はようやく口を挟むことができた。


 しかしからかうつもりで言ったのに、知由は睨み返してこなかった。


「自分の足で情報を集めるようになってわかったけど、滋みたいに速くたくさんの、有効な情報を集めるのは、すごく難しい。だから、滋だけは尊敬できる」


 知由はあえて“だけ”を強調して言った。


 友奈は知由の性格の悪さを垣間見た気がしたのに、滋は感動している。


「みさきちゃん……二年……三年? とにかく、しばらく会わないうちに大人になったんだね」
「滋の子供より大人になっておかないと、滋の子供にバカにされるから」


 友奈と滋は顔を見合わせる。


 滋は吹き出し、友奈は呆れる。


「凛乃はまだ二歳にもなってないんだけどなあ?」
「そこと張り合ってる時点で子供なんですけど」
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