探偵少女
　知由が頬を膨らませれば膨らませるほど、滋も友奈も笑っていく。


「さて、みさきちゃんが成長してるってわかった記念に、情報集めのコツを教えよう」


　満足するまで笑った滋が言うと、知由は身を乗り出し、目を輝かせる。


「大事にすべきは、人間関係。この人には話したい、話してもいいって思ってもらえないと、情報は集まらないんだよ」


　わかりきったことを言われたが、知由はそれを顔には出さなかった。


　わかっていても、できているかと言われれば、微妙なところだったからだ。


「相手のことだけを知ろうとしたら、相手は警戒するんだ。だから、僕自身のことも見せて、隠してることはないよ、仲良くしようっていう意志を見せる」


　知由は難しそうな顔をする。


「すべてをさらけ出すのは、ムリ」
「僕だってそんなことはしてないし、できるわけないよ。だって、僕が全部話したら、誰も僕に情報くれないもん」


　知由も友奈も仲良く首を傾げる。


　先に理解したのは、知由だ。


　知由の表情に気付き、滋は苦笑する。


「目的が目的だったからね。それを知られてしまうと、教えてくれる人なんてほとんどいない」
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