探偵少女
「……頑張る」


 友奈の厳しい言葉に対して、なんとも弱々しい返しで、滋は苦笑する。


 相手の戦意のなさを感じ取って、友奈はそれ以上言わなかった。


「じゃあ、練習として、朝原晴真くんに話を聞きに行ってみたら? 今回の事件は彼から情報を得るのが一番早い」


 滋が提案すると、二人は揃って気まずそうな雰囲気を醸し出した。


 滋はよくないことを言ってしまったのかと、不安になる。


「なにかあったの?」
「三崎がストーカー事件なんて興味ないって言って、朝原晴真を怒らせた」


 滋はなんて言えばいいのかわからなくなる。


 知由は、滋の視線から逃げる。


 結局滋は知由を捕まえられなくて、ため息をついた。


「そういうところは変わってなかったんだね」
「芸能人のストーカーなんて、関わってもいいことなんてないから……」


 子供のような言い訳の仕方をされて、滋は成長していると言ったのは間違いだったかもしれないと思った。


 そして、不思議と安心していた。


「で、断り方を間違えた、と。みさきちゃんらしいけど……友奈ちゃんが言った通り、みさきちゃんには人間関係を作り上げるのは厳しいかもね」


 二人に“無理だ”と言われ、知由は逆にやる気になっていた。
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