探偵少女
「俺、夢郷さんに相談したいことがあって。でも夢郷さんって、いつも撮影が終わると、すぐに帰られるじゃないですか」


 夢里は返す言葉に困りながら、笑って誤魔化す。


「それで、今日こそはと思って、夢郷さんを追いかけたんです」
「……ストーカー」


 知由が呟くと、晴真は目を見開いて知由を見る。


「相手に気付かれずにつけるなんて、ストーカーでしょ」


 知由の冷たい言葉に、視線を落とす。


「そんなつもりはなかったんですけど、なかなか追いつけず……」


 申しわけなさそうに言う晴真を見ても、知由は訂正しようとしない。


「あの、夢郷さんがいつも早く帰られる理由って、ここに来るためだったんですか?」
「いや……うん、そう」


 夢里は否定しようとしたが、視線の先にいる知由に睨まれ、晴真の発言を肯定した。


 娘の知由に会うため、とは言えないはずなのに、つい言ってしまうところだった。


 そんな夢里を見て、知由は晴真を嘲笑する。


「若手人気俳優とやらは、随分と見る目がないのだな」


 晴真が反応するよりも、友奈が反応するほうが早かった。


 友奈は知由の頭を小突く。


「失礼なこと言わない。あと、言葉遣い。戻ってるから」


 殴られたことが気に入らない知由は、ますますつまらなそうにする。
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