探偵少女
舌打ちをしないことが不思議なくらいの不機嫌顔に、蒼空は喉が詰まる。
「……私、前みたいに蒼空のこと、手放しに信用できない」
切ない瞳をして、静かに言った。
それは、どんな罵声よりも蒼空の心を抉った。
「雪兎、帰ろう」
雪兎はなにか言いたそうにするが、なにも言わずに、窓を閉めた。
蒼空はおぼつかない足取りで数歩下がる。
雪兎が車を発信させると、蒼空は車が見えなくなるまで、その場に立ち尽くしていた。
◆
雪兎に送ってもらい、知由は自宅に篭っていた。
静かな空間で、先の蒼空の表情を思い出す。
見ているこっちが苦しくなるほどの、切ない瞳。
『蒼空さんが三崎に嫌がらせなんて、ありえない』
ふと、友奈の言葉が再生された。
実際に蒼空の顔を見て、友奈が言ったことを信じたくなる。
それを頑なに否定して、蒼空の表情を忘れようとする。
そのとき、電話の着信音が部屋に響いた。
『三崎夢里』
テレビ電話であることも確認し、電話に出る。
映ったのは夢里ではなく、不機嫌顔の晴真だ。
「俺に話したいことってなんですか」
電話が繋がってすぐ、晴真は冷たく言った。
「……私、前みたいに蒼空のこと、手放しに信用できない」
切ない瞳をして、静かに言った。
それは、どんな罵声よりも蒼空の心を抉った。
「雪兎、帰ろう」
雪兎はなにか言いたそうにするが、なにも言わずに、窓を閉めた。
蒼空はおぼつかない足取りで数歩下がる。
雪兎が車を発信させると、蒼空は車が見えなくなるまで、その場に立ち尽くしていた。
◆
雪兎に送ってもらい、知由は自宅に篭っていた。
静かな空間で、先の蒼空の表情を思い出す。
見ているこっちが苦しくなるほどの、切ない瞳。
『蒼空さんが三崎に嫌がらせなんて、ありえない』
ふと、友奈の言葉が再生された。
実際に蒼空の顔を見て、友奈が言ったことを信じたくなる。
それを頑なに否定して、蒼空の表情を忘れようとする。
そのとき、電話の着信音が部屋に響いた。
『三崎夢里』
テレビ電話であることも確認し、電話に出る。
映ったのは夢里ではなく、不機嫌顔の晴真だ。
「俺に話したいことってなんですか」
電話が繋がってすぐ、晴真は冷たく言った。