探偵少女
case5
 鷹宮肇は、会社の近くにある公園のベンチに座り、スマホを操作していた。


 その口元は、抑えきれずに緩んでいる。


 見ているのは、自分が書いてアップロードしたばかりの記事情報。


 情報を更新するたびに閲覧数やコメント数が上がる。


 その上昇具合が、自分がしたことを肯定してくれているような気がした。


 何度目か知らない更新をしたとき、電話が鳴った。


「……はい」


 至福の時を邪魔され、その声は低い。


「鷹宮、今どこにいる」


 電話相手の松島は怒鳴るように言った。


 つい昨日怒られたばかりで、またそのことについて言われると思い、鷹宮は小さくため息をつく。


「なんですか、松島先輩。まだ朝原晴真のことで怒ってるんですか。生憎ですけど」
「お前が書いた記事、最悪だからな」


 松島は鷹宮の文句を遮った。


 ただでさえ不機嫌だった鷹宮の表情が、ますます険しくなる。


「それ、どういう意味ですか。世間はああいう記事を期待していたんです。それなのに、あんたたちは取材しに行こうともしなかった。俺は世間の声に応えただけです」
「あれがガセネタだ」


 それは昨日も聞いた言葉だ。


 鷹宮は、その根拠こそ示せと思っていた。
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