愛しい君へ
仕事がある直史は翌日の朝一番の飛行機で東京へ帰って行った。

「ねぇお父さん。私さ〜どうしても薫ちゃんがマーちゃんを置いて離婚したのが信じられないんだよね…。
あんなに私達にもしょっちゅう電話してくれてたしさ〜
私達の事を大事にしてくれて、思いやりがあって、優しいし、真面目でキチンとしてた子がだよ?
離婚する時になんの連絡もよこさなかったしょ?
変だとおもわないかい?」

「でも母さん、直史が1年も家庭を蔑ろにして若い女に熱上げてたんだから、薫ちゃんだって腹わた煮えくり返ってたと思うぞ。
そんな直史の親に離婚したいなんて話せなかったんだよ」

「でも、薫ちゃんがマーちゃんを置いてくのはどうも腑に落ちないんだよね〜私は……」

「兎に角、マー君の面倒みるのは大変だぞ!
2歳なんていちばん目が離せない時期だろ?
火傷やケガさせないようにしなきゃダメだし、危ないものは高い所に置いて、コンセントやドアでケガしないように便利グッズも買いに行こう。それとさ、マー君に新しい箪笥も買うか?」

「うん。直史が使ってた箪笥も古いしね〜」
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