先輩、お久しぶりです
ネットで検索しているあいだ、ただボーッと眺めているだけの手持ち無沙汰の時間。
先輩の横顔を見ながら、こんな状況になっている今の状態を不思議に思いながら物思いに耽っていた。
どうして先輩はあの時あんなに怒って私の元を去ってしまったのか。
いくら友達との疑惑を突きつけられたとしても、一切の連絡を断ってまで避けるほどのことではなかったはず。
人の価値観はそれぞれなのは分かるけど、再会した後も誤解を解くまで凄く不機嫌だったのはどうしてだろう。
そんな態度は、まるで先輩が私のこと……
「千春、これなんかどう思う?」
「――え!?」
急に話しかけられて、驚きながら我に返った。
「とりあえず色々探してみたけど」
隣でラグの上に胡座をかいてパソコンの前に座っている先輩は、カチカチとクリックして検索した画面を私に向けた。
「10個ほど探せたけどほぼ俺の趣味だな」
「どれですか?」
ハッキリ見えなくて顔を近づけてパソコンを覗き込んだ。
見ると確かに贈り物というより趣味で使う物ばかり。
「今日見て回ったもの以外で検索したけど、こんなので喜ぶかな?」
「……」
喜ぶわけない。
これ完全に先輩の趣味だよ。
「あ、あの……先輩、いいと思いますよ。でも、この筋トレグッズは陵介先輩が使うにしても部屋に置くには大きすぎます。
あとこのカゴに入った果物盛り合わせ……これ入院患者に持ってくお見舞いです。お祝いの品じゃないですよね。それから……」
どうしよう、ダメ出ししか出てこない。
普段秘書として色々な手土産や贈り物を選んでいる私でも、この選択肢はあり得ない。
どうしてこんな物しか検索出来ないのか、逆に不思議に思うくらい偏っている。今日は一体何を見て回ったのか、ウロウロしたことがまったく反映されていないことにガックリ肩を落とした。
一応選んだものはすべて見てみようと、唸りながら画面を捲っていくと、見せてもらった中に面白そうなものを見つけた。