先輩、お久しぶりです

言われるままドライヤーを持ってくると、ソファに座る先輩に背を向けて座らされ、膝の間に挟まって後ろから風を当てられた。


ブォー!という音や風とともに、柔らかく頭を撫でるように乾かしてくれる。
時々下から掬いながら丁寧に優しく。
見えないけれどきっと真剣に乾かしてくれてるんだろう。


嬉しい。
なんだか、こういうイチャイチャもカップルになれたんだなーなんて、気持ちが温かくなる。


グルルル〜ッ


ーーえぇ……。
こんなラブラブな雰囲気の時に、昨夜激しく運動したせいで盛大にお腹の音が鳴ったのが分かった。


幸いドライヤー音のおかげで先輩には聞こえなかったみたいけど、こんな大きなお腹の音を響かせてしまうなんて、ほんと可愛げがないな私。


「あの、先輩。もう大丈夫なのでそろそろご飯作りまーー」

「長い髪似合ってる」

「?」

「短いのも可愛かったけど、長いのも似合ってて好きだよ」


ドライヤーの音でかき消されそうだったのか、先輩は私の耳元に口を寄せて少し大きめの声で囁いた。


不意打ち過ぎてどんな反応をしていいのか分からず言われた言葉にドキドキしていると、ドライヤーが止まり背後から力強い腕に包まれた。


「愛してる」


心臓が早鐘を打ち、何も言えないまま振り返るとその拍子にキスをされた。


「その顔ヤバいな」

「……え?」




< 131 / 152 >

この作品をシェア

pagetop