先輩、お久しぶりです

「何って、四人で食事してるんだよ。藤井こそどうしたんだよ」

「おまえたちが歩いていくところが見えたから着いてきたんだよ。それより千春に何聞こうとしてたんだ」

「まだ何も喋ってないよ」


的場さんは普段どおりに振る舞っているけれど、村元さんと松下さんは口元が緩みつつ分かりやすくシラっと目線を横に向けていた。


確かにまだ何も話していない。
これから私たちの仲をどう話そうか悩んでいたところだったのだ。


先輩は片方の眉を上げ、この状況を瞬時に把握していた。三人ともが前のめりな姿勢で私に詰め寄っていれば、何かあるとすぐに分かる。


テーブル席の真横で堂々と仁王立ちになって見下ろしている先輩。


「千春に聞くくらいなら、俺が代わりに答えてやるよ」


その言葉にみんなが驚いて視線を向けた。


「藤井とは関係ない話かもしれないだろぉ」

「このメンツで俺と関係ないことなんてあんのか」

「仕事の話とか?」

「へぇ。じゃあ俺は同じチームじゃないってことで、GCプロジェクトの件もすべて的場がやってくれるんだな」

「ご、ごめんて~」


弱いところを突かれたのか、先輩の腕に縋りついた的場さん。
観念しておとなしくなってしまった。

先輩は隣の空いている椅子をガタガタと引き寄せお誕生日席に座ると、頬杖をついてじっと私を見つめた。


こ、これはドキドキというよりぞわぞわと言った方がいいのか。
なんでついてきてるんだと無言の圧力を感じてつい目が泳いでしまった。
私もただのランチだと思って来たはずなんだけど……どうしてこんな罪悪感を感じるのか。




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