先輩、お久しぶりです

そう言って、目を細めた優しい笑顔でおでこにチュッとキスをされ腰に手が回った。


お、王子かっ!


とツッコミを入れたくなるほどスマートな動き。
その様子を見ていた先ほどの女性たちからは、「彼女持ち!?あ〜ぁ、残念」と嘆いているのが聞こえてきた。


横目で見ていた私は思わず、

『はい、私の彼氏で、旦那さまです』

と言いたくなってしまう。
心の中で呟いていても、こんなにかっこいい人が私の旦那さまなんだ……と思うと、胸の奥がキュンとなる。


「それより、なんでここが分かったの」

「池田さんから事前に教えてもらった」

「へ!?聡太の連絡先知ってるの!?」

「ん?そうだけど。なんかおかしいか?」

「おかしいでしょ!どうしてそうなったの」

「あ、そうか、千春には言ってなかったな。前に式場見学した時に交換したんだ」

「へ?」


以前、挙式場所を検討していたとき、式場見学を兼ねてデートがてら色々と見てまわっていた時があった。

その時に今日聡太たちが挙げた教会にも見学に行った際、聡太と優子さんが打ち合わせに来ていたところバッタリ出くわしたのだ。
多分その時にでも連絡先を交換したんだろう。


「情報共有のためにな」

「なるほど。どうりで式場に詳しかったわけだ」

「まあ、結局自分たちのこだわりで決めたとこが一番良かったけどな」


そんなことを話していると、三次会に行くために徐々にロビーに人が集まってきていた。
そこへちょうど出てきたバイト仲間が後ろから声をかけてきた。


「おーいチハ!そんなところにいたのか、お前も三次会行くだろ?」


振り向くと、みんながゾロゾロと連れ立って歩いてきており、その中には聡太夫妻も一緒にいた。


「あーごめん、私帰るよ」

「お前なんだよ、まだまだこれからだろ〜」

「残念だけどお迎えに来てくれたし」

「あ、藤井さん!来られてたんですね」


私の隣に立つたーくんを見て、聡太が笑顔で声をかけてきた。聡太夫妻以外のみんなはこんな人参加してたか?と不思議そうな顔で見ている。




< 150 / 152 >

この作品をシェア

pagetop