先輩、お久しぶりです
結局、玄関でしばらく待ってもらうことに。
いくらなんでもこの大惨事を見られるわけにはいかないため、慌てて片付けに奔走した。
散らかった服と吊り下げた洗濯物を素早くクローゼットに押し込んで、床はコロコロで簡単に掃除。
食器類は片付いてるからOK!小物類もそれなりに適当に並べて、臭い消しのスプレーを振りかけて、ひとまず人を呼んでも恥ずかしくない程度の見た目にはなった……と思う。ふぅ。
「どうぞ」
ガチャリと玄関を開けて、しぶしぶ昂良先輩を招き入れた。
「へぇ綺麗にしてんじゃん」
「まあ、それなりに」
こんなのいつも通りですけど、と平静を装ってみた。
一人暮らしの1Kマンションなんて、それほど広くはないし、散らかった物もクローゼットに詰め込んでしまえばなんとかなる。
細かなところが掃除出来てないのが唯一心配で、そこには気付かないで欲しいと願うのみ。
「玄関先で待たされたから、てっきり色んなもんクローゼットに隠してんのかと思ったわ」
……お見通し。
「――わ、分かってても言わないのが礼儀ですよ!」
「やっぱそうなのか」
素直になったかと思ったのに、やっぱり嫌味たらしいのはいつも通りだった。
「それより、料理作るんでソファで休んでてください」
「俺も手伝うわ」
「いいですよっ」
全力で拒否しても腕まくりしながらキッチンへと入ってきて、私の隣に立った。