先輩、お久しぶりです
なのにチラッと先輩を見ると、心ここに在らず……という面持ちで何か物思いに耽っている。
誰かを思い出しているのか、誰かを想っているのか。
先輩の横顔がなぜか切なく見えるのは気のせいだろうか。
そんなことを考えてしまうと、胸の奥でチクッとするような感覚を覚えて同じように物思いに耽ってしまった。
先輩は誰か想う人がいるのかもしれない……。
勝手に想像したけれど、なぜかその考えが私の中でしっくりきてしまった。
そのあと来週土曜日に美香たちへの贈り物を買いに行こうという約束をして、先輩は帰って行った。
部屋に来たからといって何かあるわけじゃない。
けれど、ほんとにただ食事をして帰っていっただけだった。
昼間も美香のことを聞かれただけで、特に重要な用事があったわけでもなさそうだったし、本当に暇だったのかもしれない。
「はぁ……」
なぜかひとつため息をついてから、先輩が帰った後のカップを洗い流した。