先輩、お久しぶりです
「そう、それが分からないんですよね~。久しぶりだから一緒に飲みに行ったのかもしれないし、本当に浮気かもしれないし」
「今朝の藤井くんはいつも通りで、特に二日酔いでも寝不足でもなさそうだったわよ」
え!?そんなところまでチェックしてるの?
ま、松下さんて……。
「じゃあ何かの用事だったのかなあ?怪しいなぁ」
「そもそも二人って仲良かったんですか?」
「仲良いというより、二人ともあのビジュアルでしょ?だからみんなが注目してたってだけ。でも藤井さんのこと好きな人多いんじゃないかな〜、実際クールでモテるし」
「……」
大学の時もモテてたから今もモテると聞いて驚くことではないけど、あの加藤さんと付き合ってたのは意外だった。
先輩はああいう典型的な美人が好きなんだ。
じゃあ……私が眼中にないのも頷ける。
「ふんっ、男なんて結局は見た目で決めるのよ。若宮さんも気をつけてね。変な男に捕まらないように」
なんかどこかで聞いたセリフだな。
「先輩、逆ですよ。藤井さんが変な女に捕まったんですから」
「じゃあ、若宮さんも加藤さんみたいにならないようにね」
「……はぁ」
よく分からない釘を刺されてしまった。
結局楽しい食事になるはずが、なんだか気まずく終わってしまった。
それもこれもあの加藤さんが話題になると、みんな不機嫌になってしまったのが原因なんだけど……。
「あ、ちょっと待って。替えのストッキング買ってくるから、悪いけどここで待っててもらえる?」
「わかりました~」
帰り際に松下さんがそう言って急いでコンビニに入ると、私と村元さんは歩道の脇に立って待つことにした。