恋の♡魔法のチョコレート
「やっぱりそうなりますよね」

「えっ!?何が!!!」

目を丸くする私の隣で冷静な表情で一口チョコレートをかじる。

あのチョコレートを食べても表情が変わらないがすごい、私の口の中はずっと気持ち悪いのに。

「部活で作ろうと思うと限界がありますね」

「…これ、何なの?」

「チョコレートですよ、れっきとした」

「全然おいしくないんだけど!もしかして失敗作!?」

とにかくザラザラして、めちゃくちゃ苦い。ダイレクトな刺激に、風味も何もない。

これのどこが魔法のチョコレートなの…!?

「カカオから作ろうと思うと難しいんですよね」

え…?カカオから?作ってる?

「手作りってそこまでできるの!?すごいっ!」

さすがの私でもチョコレートがカカオを原材料としてるのは知っていた。

でもカカオからチョコレートを作る高校生には会ったことがなかった。いや、高校生じゃなくてもあまりない気はするんだけど。

「どうやって作るの!?カカオって、あのアーモンドみたいなやつだよね!?てゆーかカカオって売ってるの!?」

さっきよりも聞きたい度が高まっちゃって、前のめりに小鳩に近付いちゃった。

あ、やばい!また睨まれる!

「普通にネットで買えますよ、100グラム1,000円ぐらいで」

と思ったけど、睨まれるどころかいつもより自然な会話が返って来た。

「もちろん物によって変わりますが、一般的に買えるものもたくさんあるので。作ろうと思えば可能です」

「え…でも絶対大変だよね?全然想像付かないんだけど、どうやるの?だってあの豆をどーしたら…」

「まずはローストして殻と胚芽(はいが)を取り除いたら、ひたすら潰しますね」

まずはローストしての時点で何の行程か迷子になってしまったけど、ひたすら潰すなんて気が遠くなる。考えただけでも気が遠くなった。
< 11 / 159 >

この作品をシェア

pagetop