恋の♡魔法のチョコレート
テストが終わったら案外暇な学校生活、部活も特にすることがなくて、なんなら冬休みの活動さえないらしい。

今や部活も週に1回あったらいい方で、お菓子作り初心者な3人だけじゃ最低限の活動が限界だった。

ゆるーい活動過ぎて行っても暇なくらいだし、もともと魔法のチョコレートが欲しくて行ってた私が部活動って…何すればいいのかわかんない。

いろんな意味で邪魔な存在だとは思う。

…だけど、辞めたいとは思わないんだよね。

そう思う私もそれなりにチョコ研のことが好きなのかなって思ったりして。

悩みが尽きな過ぎて頭が痛い。

ぼけーっとしながら授業を聞いていた。

古典の音読がいい感じに眠気を誘う。

やっば、落ちそう…
頭が重すぎて、このままドンっと倒れそう。

「…ぎさわさん、柳澤さんっ」

「あ、はい!」

危うくあっちの世界へ飛び立つ手前、名前を呼ばれてることに気が付いた。だけど慌てて返事をしたから過剰反応しすぎて立ち上がっちゃった。

「…ちゃんと授業聞いてましたか?」

「き…っ、聞いてました!」

「…そうですか、では柳澤さん。次のところ読んで」

古典の葉田(はだ)先生は40代のお母さんみたいな先生、普段は優しいけど怒ると目がキリっとしていつもより低音になる。

今まさにそんな感じ、絶対怒ってる。

次のところ…を読みたいんだけど、次のところもわからない。
咲希に助けを求めようと思ったけど私より後ろの席の咲希にSOSを送れるわけなくて、しょうがなくここは諦めることにした。

「…先生、頭が痛いんで保健室行ってもいいですか」

これも本当だし、本当に頭が痛いんだし、嘘は言ってない。

少しだけ沈黙した後、葉田先生がはぁっと息を吐いた。

やば、怒れるかな…っ

「じゃあ保健委員、保健室へ連れてあげっ」

「あ、大丈夫です!1人で行けます!1人で…っ」

無理くり先生を納得させるように訴え、静かに教室を出た。

でも…保健室か、そこも行きづらくて余計に頭が重くなる気がした。
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