恋の♡魔法のチョコレート
咲希に押し出されるまま教室から出て、屋上に続く階段までやって来た。

小鳩がその場で話そうとするから無理に連れてここまで、ここなら誰も来ないと思うから。

はぁっと息を吐いて階段に座ったら、そんなとこに座るんですか?って顔されたけど渋々小鳩も座ってた。

「………。」

「……。」

「………。」

…え、てか何話すの?なんで呼ばれたの?

私顔ぐちゃぐちゃなんだけど!

ビジュアルやば!!!

「先日はすみませんでした」

「え…」

私が1人わらわらしていると小鳩が先に口を開いた。小鳩に呼ばれたんだからあたりまえかもしれないけど。

「こないだ…、柳澤さんを置いて勝手に帰ってしまって」

「う、ううん…全然…」

まさかあのことを小鳩の方から言ってくるとは思わなくてちょっと動揺しちゃった。

「少し感情的になってしまって申し訳なかったなと思っています。このまま新しい年を迎えるというのも心残りなので、今年中に話しておきたくて」

今日は終業式で、明日から冬休みで、12月も終わる。学校が始まる頃には来年になってる。

「…律儀なんだね」

その前にちゃんと話しておこうっていう発想を持ってた小鳩もある意味さすがだった。

「…そうゆうものではないんですか?友達って」

「えっ」

“だって私小鳩の友達だもん!”

ちゃんと小鳩もそう思ってくれたんだ。

それは嬉しい、かも。

「正直にいいますと…友達というものがあまりわかってなくて。だけどあれ以来、柳澤さんをお見掛けすることがなかったので…元々部活以外ではあまり会うこともなかったですが」

それは私がわざと避けてたから。

小鳩の姿を見ることがあっても、わざと遠回りしちゃったりゆっくり歩いちゃったりしてわざと離れようとしてたから。

「友達の意味を辞書で調べたら親しく交わっている人と出て来まして、でも何をするのが友達で友達に対して何をすべきなのか、親しいの度合もわかりませんし、そもそも一体どの瞬間友達になるのかもよくわからっ」

「ふっ」

「………何で笑ったんですか?」

「小鳩らしいなぁって思って」

「…は?」

あーぁ、変なの。

さっきまで悲しくてしょーがなかったんだけどな。

なんだか急に笑えて来ちゃった。

ふふふって笑ったら、小鳩が不服そうな顔をしたけど、それが妙に居心地よかった。

そっか、私まだ大丈夫だ。

「小鳩、私のこと嫌いになったのかと思った」

「どうしてですか?別に嫌う理由はないですけど」

首を傾げながら眉間にしわを寄せて私を見た。

私もゆっくり目を合わせた。

「じゃあもう1個嫌わないで聞いてほしいんだけど…」
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