恋の♡魔法のチョコレート
「みんなー、あけおめ~!今日からチョコ研もまたよろしくね!」

森中部長の挨拶から始まった今年のチョコ研、“みんな”って言ったけどいるのは私とそらぴょんで小鳩の姿はなかった。

もしかして…ってちょっと期待したけど、来ないか。

辞めちゃったんだもんね。

“もう琴乃にはチョコレート作らないよ”

チョコレート作る理由も、なくなっちゃった…もんね。

「笹原くんも柳澤ちゃんも!これからチョコ研最大のイベントが始まるからよく聞いて!」

調理実習台のイスに座る私たちの前に、どんっと台に手を付け立ち上がった。

やたら気合いの入る森中部長を見ながら何を言われるのかなって考えてた。

3学期ってそんな大きなイベントあったっけ?文化祭より大きなイベントでしょ?
卒業式ぐらいしか…

「2月14日はバレンタインデーです!」

それは予想外、でも“チョコレート”研究会なんだから確かに外せないイベントではあるかも。

「毎年力入れてるチョコ研最大の活動なんだよ!」

「それってどんな活動なんですか?」

目をキラキラ輝かせご機嫌に話す森中部長にそらぴょんが尋ねた。
バレンタインって言っても学校公式の行事じゃないし、そうだよね、何するか気になるよね。

「とびっきりおいしいチョコレートを作る!」

それはごくごく日常と変わらない活動で。

「それで、好きな人に渡すんだよ!」

すっごくドキドキする内容だった。

「私たちの部活って大会があるわけでもないし、何か結果を残せるわけでもないでしょ?だから1年間の活動の集大成として、自信あるチョコレートを作って、好きな人に渡す…これがチョコ研の伝統なの」

なんかその言葉にはグッと胸に響いちゃって。

私がチョコ研に入ってからまだ半年も経ってないけど、これが今の私のキッカケかと思って。
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