恋の♡魔法のチョコレート
でもそう言いながらも、行動と言動は伴わないもので。

いつでも一生懸命!

…が私のキャッチコピーかと思ってたのに、それに追いつかないことは多々あるのです。

「琴ちゃん先生~!またヤケドしちゃった~、何か冷やすものっ」

左人差し指を立てながらガラッと保健室を開けた。

ノックもせずに開けちゃった、しかも喋りながら、いつものノリで琴ちゃん先生に会いに来ちゃった。

だけど開けた瞬間、目がったのは琴ちゃん先生じゃなくて…


小鳩だった。


「本当不器用ですね」

小鳩も来てたんだ、保健室。

「絵は描けるもん!お菓子作りが苦手なの!」

あーーーーー、なんか久しぶりこの威圧感!!!

人を見下すようなこの表情と言い方!

むしろ懐かしい!

「柳澤さんは大雑把過ぎるんですよ。お菓子作りは少しの配合で何もかもが変わってくる繊細なものなんですよ」

「…小鳩は神経質過ぎると思うけどね!」

「細かいことまでいちいち気に病むさま」

「?」

「それが神経質の意味ですが、僕は病んでませんので当てはまりません」

「わーーーー、出た小鳩辞書!あ、小鳩図鑑!?小鳩図鑑に載ってるんだ!」

あ、やば!ちょっと言い過ぎたかも!

って顔を見上げた。

そしたら顔をしかめて、なんだか不服そうで。

何、その顔。

思わず私も眉間にしわが寄っちゃうとこだった。

「…っ」

次は何を言われるのかなって待ってると、はぁってタメ息付かれた。

なんで!?何のタメ息!?

しかもサッと視線を逸らしたかと思えば、ぼそっとわざと私に聞こえるぐらいの音量で呟いた。

「琴乃先生の方が上手でしたよ」

こっ、琴乃先生の方が 上 手 で し た よ…!?

なっ、それは…っ

「柳澤さん!ほら、早く冷やさないと!」

軽く臨戦態勢に入った時、スッと氷を持った琴ちゃん先生が割って入って来た。

小鳩と言い合ってたけど、もちろん琴ちゃん先生もいて私たちがわーわー言ってる間に氷を用意してくれていた。

「…ありがとう」

どっちの意味でも冷却されて、ここは1回身を引くことになった。

…納得はしてないけど。
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