恋の♡魔法のチョコレート
駅前広場の噴水の前、大きな木をぐるっと一周囲うようなベンチに座った。ちょっと暑いけど日陰だし、風に吹かれて飛んでくる噴水の水はミストみたいで気持ちいいし。

「絶対おいしいから!」

そらぴょんの念押しにだいぶ上がってしまったハードルを抱えながらマドレーヌを一口食べた。

これで普通だったらどんな反応すればっ

「おいしい~~~~~~♡♡♡」

ぱくっと一口食べただけでわかった、何コレめっちゃくちゃおいしい!考える間もなくおいしいが先に出ちゃった!

「でしょでしょ!あのお店から想像付かないでしょ!」

あ、そらぴょんもそれは思ってたんだ。お店の風貌地味だなって。

「表面はカリっとしてるのに中は超しっとりでなめらかなの、バターの香りも最高でしょ!」

捲し立てられる早口にふと思い出す、あの瞬間。

「そらぴょんはマドレーヌに興奮するタイプなの?」

「え、何それ?普通に女の子に興奮するタイプだけど」

「あっ、そんな顔してその返答来ると思ってなかった!」

そらぴょんもマドレーヌを袋から取り出して食べ始めた。

おいしくてあっという間になくなってしまいそう、もっと買えばよかったかも。

「そらぴょんってさ、甘いものが好きなんだよね?」

「うん、好きだよ!マドレーヌも好きだし、何でも好きだけどね!マカロンとか、クッキーも好きだし、なんならポテトチップスだって好き!」

それは私だって好きだけど。あったらなんだって食べちゃうし、おいしかったらしあわせだし。

「でもそれだったらチョコ研入らなくてもよくない?」

チョコレート研究会にこだわる必要はないと思うんだよね。お菓子が好きなら実は家庭科部ってやつがうちの高校にはあるし、家庭科部だから裁縫とかボランティア活動もあるけど料理だってするし、好きなように作れると思うんだけどな。わざわざ小鳩から許可もらうなんて、高い山登ろうとしなくても。
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