恋の♡魔法のチョコレート
今日のお昼休みも咲希は光介くんのもとへ行くと忙しそうだった。

昨日買って来たマドレーヌを2個渡すと一緒に食べるねって喜んでくれて、少しでもこれで2人の会話が盛り上がったらいいなぁーなんて思っていた。


さぁ、私も行こうかな。







「こーばとっ」

「!」

「こんなとこで食べてたんだ!めっちゃ探したのに全然見付からないはずだよ!」

2組の教室を覗いたけど小鳩の姿はなくて、だからどこかで食べてるのかなーって学校中を歩き回ってやっと見付けた。

保健室のテーブルでお弁当広げてるなんて全く考えになかった。

「……なんですか」

「いつもここで食べてるの?」

「先に質問に答えてくれませんかね」

小鳩の隣のイスが空いてたから、自然とそこに腰を下ろした。

「ここエアコン効いてて涼しいね!」

「僕の話聞いてます?」

ピシッと背筋を伸ばして、食べる姿勢も様になってるそれはなんだか小鳩らしい。

「あら、人が増えてる」

ガラッとドアが開いた。声を聞いてすぐ、両手を上げながらドアの方を向いた。

(こと)ちゃん先生ー!」

東雲琴乃(しののめことの)先生、白衣が似合うショートカットの保健の先生。
若いし可愛いし美人だしみんなの人気者で、用もなく保健室に来てる人は結構いる。

だけど小鳩までその1人とは予想外だった。

「小鳩も琴ちゃん先生のファンだったんだね」

「は、何言ってるんですか?」

私たちの会話を聞いて琴ちゃん先生がくすくす笑っていた。
不満そうな小鳩が最後の一口だったプチトマトを口の中に入れた。

「小鳩くんはそうじゃないよね」

くすっと笑う姿も凛としていて、こんなに白衣が似合う人いないんじゃないかってぐらい琴ちゃん先生は保健の先生がしっくり来る。

「頭痛は大丈夫そう?」

「はい…、もう大丈夫です」

「そう、よかった。薬はなるべく早めに飲むようにね」

健康優良児の私には無縁の会話で、保健室ではこんな会話がなされるのかってちょっと新鮮な気持ちになっちゃったり…あ、じゃなくて!

「小鳩頭痛いの?」

「今は痛くないです」

「今は??」

食べ終えたらすぐ片付けを始める、このテキパキ加減は家庭科室にいた時とおんなじだ。

「小鳩くん、頭痛持ちなのよね」

頭痛持ち…?

たまーに聞くその言葉、小学校の頃から聞いてはいた。

隣の席のゆみちゃんが頭痛持ちでよく早退してたっけ?それ見て思ってたんだよね…

「じゃあ私職員室戻らないとだから、出てく時はエアコン切っておいてくれる?」

「わかりました」

そう言って琴ちゃん先生が出て行った。

まだお昼休みが終わるには少し時間があって、保健室で小鳩と2人になった。
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