恋の♡魔法のチョコレート

Magic3.チョコレートにしか興味ない男を落とす方法

賭けをした。

私が勝ったら小鳩に魔法のチョコレートを作ってもらう。

私が負けたら…


「それで小鳩くん何て言ったの?」

下駄箱で上履きからスニーカーに履き替える、今日の授業も終わり。咲希は今日も光介くんを待たずに帰るらしい。

「もちろん断られたよ」

「だよねぇ、小鳩くんにメリットないもんねぇ」

無理矢理私が提案した交換条件、すんなりOKが出るわけなくて…チッて舌打ちされて終わった。そんな手に小鳩が乗るとも思わないから、想定内ね。

「詩乃は今日も笹原くんと帰るの?」

「うん!…ごめんね、今日も咲希1人だよね」

「私は全然いいよ、1人で帰るのも好きだし」

「そう…?」

遠慮がちに咲希は笑っていた。光介くんと会う約束も減ってるみたいだし、その表情は寂しそうにも見えた。

「チョコレート、作ってもらえるといいね」

「うん、ありがとう」

「じゃあ、がんばってね!」

ばいばいと手を振って咲希が学校から出て行った。

スマホを開くとそらぴょんからLINEが来ていて、今から行く!と1分前にメッセージが入ってた。

今日は下駄箱で待ち合わせ、咲希とここまで一緒に来たかったから。

もう少し待ったらそらぴょん来るかな。

壁にもたれながらそらぴょんが来るのを待つ。

小鳩も部活だよね、きっと。

「……あっ」

思わず声が出てしまった。

ふと2年生の下駄箱の方から最近聞いたことのある声がしたから。

あれは昨日魔法のチョコレートを手に入れたって言ってた…!

弾むに弾む表情、嬉しそうに笑って誰かを呼んでいる。下駄箱に隠れて見えないけど、それはもしかして…っ

「!」

グイっと腕を引っ張った相手、空気感だけでわかった。

お互い目を合わせて微笑んで、それは2人の世界…

上手くいったんだ…

告白、上手くいったんだ!

わぁーーーーーっ!

すごいっ!!!

よかったぁーーーー!!!

両手で口を押えた。

どうしよう、溢れそう。

何かが溢れそう。

手を繋いで帰って行く2人。

なんだか愛しくて、全然知らない先輩のことなのに。

告白する勇気…持てたんですね。

私も嬉しくなっちゃった。
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