恋の♡魔法のチョコレート
「…ねぇ、そのチョコレートってどうするの?」

「あげませんよ」

「もらおうと思ってないからいいよ!…単純にどうしてるのかな?って思っただけ。毎日部活で作ってるから、小鳩チョコレート嫌いなのにどうしてるのかなって。全部自分で食べてるの?」

パカッと開けるようなただの白い箱に詰められ、誰かにプレゼントするようにも思えないし…毎日持ち帰ってるのかな。

「これは部長に渡すので」

「部長!?」

「はい、部のルールなんで。完成品は部長に渡すと」

急に部活っぽかった。

そっか、確かに、部長の許可も必要なんだ。

「部長は来ないの?まだ一度も見たことないんだけど」

「あの人は気分屋なので」

「え、そんな感じ?そんな感じでいいの?」

これがさすが研究会っていうか、ゆるーいノリで。
だから部員じゃない私も勝手に家庭科室に入ってウロチョロできるのかもしれないけど。

「えっ!!!じゃあ部長は小鳩のチョコレート食べ放題じゃん!?」

なんかちょっとわかった気がする! 

部長が窓口なんじゃないの?

だって部長は先輩って言ってたし、小鳩のチョコレートを手に入れて告白してた人も先輩だった…!

「………。」

うわーーーー…

小鳩が蔑んだ目で私も見てくるー…

何考えたか悟られたな、あれは。

「僕、帰ります」

「待って!私も帰るから!」

スクールバッグを肩に掛けた小鳩は右手にチョコレートの入った箱を持ち、家庭科室の電気を消した。
置いてかれると思って慌てて廊下に出た。
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