恋の♡魔法のチョコレート
「それとねルールってわけじゃないんだけど、ここで作ったお菓子はまず私に預けてもらうことになってるの」

そういえば小鳩が言ってた、完成品は部長に渡すって。部長に権限があるのはあたりまえかなって思ってたけど、どうしてそんなルールなのかな。

「簡単に言うと、そのチョコレートに群がる女子が多いから」

クイッと眉が吊り上がった。
部長も知ってるんだ、あの噂…

「ワーワー群がられたらこっちも部活にならないから、もういっそのこと私が全部引き取っちゃおうってね!そしたら誰も言って来なくなったしね!」

にこりと笑いながら話してるけど、全然目の奥は笑ってない気がした。

これは本能が言っている、敵に回しちゃいけないタイプだ…っ!

…あれ?

でも小鳩のチョコレートを手に入れたって先輩いたよね?

あの人はどうやって手に入れたのかな?

「部長、予算の件はどうなったんですか?」

それまでずっと横で黙っていた小鳩が口を開いた。

「あ、あれね!今年も全ッ然話にならない!」

腕を組んでハァっと息を吐きながら、口をつぐんだ。小鳩ほどじゃないけど眉間にしわを寄せて、重々しく言い放った。

「またひっそりと売りつけようかな」

………。

へぇ、なるほど。

今めっちゃ悪い顔してましたね???

なんとなくわかってしまったけど、少ない予算でやるしかない研究会を存続するために魔法のチョコレートが使われてたってことね。

つまりはお金を積めば買えたって話で、チョコ研に入部するより森中部長と仲良くなった方が早かったかもしれない!

そんな裏取引みたいなことがあったなんて知らないし…!

「あ、でも今日から部活なんだから予算アップだよね!ちょっとその辺も話つけてこ!」

…誰に話つけるのかな。
てゆーか私だって群がる女子には変わりなくて、思えば小鳩に拒否られてたのもしっくり来る。そう考えたら先に森中部長と会わなくてよかった、よね。

「そろそろ文化祭の準備始めるから、今度の部活は何するか話合おう!じゃあ私は予算の計算と部費の駆け引きに行ってくるね!」
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