恋の♡魔法のチョコレート
「うわー、すっげぇキレイなチョコレートじゃん!」

「これ君が作ったの?」

「いえ…、違いますっ」

私の隣に並んだオージ先輩、だけど隣を見ることもできない。 

今私の方見てたりするのかな?

そう思っただけで心臓破裂しそう…!

「チョコ研の人ってこんなの作れるんだ、すげぇな~」

あぁぁぁっ、声が!

声が近い!
至近距離すぎて、やばい!

「ねぇねぇ、これって食べちゃダメなの?」

スッと手が伸びて来た。
チョコレートばかり見ていた私の視界に入って来た手を見て思わず隣を見た。

「ダメです…っ」

「あ、やっと見た」

“あ、やっと見た”

“あ、やっと見た”

“あ、やっと見た”

エコーのようにこだまして頭の中を駆け巡る。

にこっと笑ったオージ先輩の瞳に私が映ってた。

「君、名前何て言うの?」

「え…」

「あ、俺は大地拓哉!だいたいオージって呼ばれてるかな!」

知ってます、それは重々知ってます。

裏でこっそり呼んでます。

「君は?」

「私は…、柳澤詩乃です」

こっそり名前を呼んでいた。

それだけで満足してた。

まさか私の名前を呼んでくれるとは思わなくて。

「詩乃ちゃんね」

もう次の言葉なんて出て来るわけない。

リーンゴーンって鐘が鳴っている、もちろん私の中で。

これは何の鐘?

きっとしあわせの鐘。

「チョコ研のチョコレートって部外者が食べちゃダメなんでしょ?」

「え、知ってるですか」

「森中ちゃんが言ってた、厳しいよね。ちょっとぐらいつまみ食いさせてくれてもいいのに」

いっぱい差し上げたいです、できることなら。私にその権利さえあればいくらでも。

「チョコ研の人は食べ放題か!いいね~!」

いや、私たちの食べ放題ってわけではないですけど。

まだ一度も食べたことないですけど。

てゆーかそんなことより…


初めて、初めてオージ先輩と話しちゃった…!
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