恋の♡魔法のチョコレート
「あれ?オージじゃん、何か用?」

森中部長がやって来た。
これも普通のことなんだけど、オージ先輩に話しかけてる森中部長がすごい存在に思えてしまう。

「あー、森中ちゃん!ちょっとお願いがあるんだけど~!」

「嫌だよ、オージのお願いにロクなことないんだから」

「まぁまぁそれなりに報酬は出すよ♡」

「………、これから文化祭の準備で忙しいから!」

今頭の中で計算されたのかな、した上で断ったのかな。
オージ先輩からのお願いを断るなんて私からしたらありえないけどっ。

「はいはいっ、帰って!今から部活始まるんだから!」

口を尖らせるオージ先輩の背中を押して無理矢理追い出して、バンッとドアまで閉めていた。

そーゆうとこは同じチョコ研として、ちょっとだけ小鳩と似てるかもと思った。

…でも、オージ先輩の背中…


触ってた。


羨ましい。


「メリー、お疲れ」

「わっ、そらぴょんいたの!?」

後ろから声をかけられてビックリした。いつもそらぴょんの登場にはビックリしてるんだけど、今日はいつもと違った形でビックリした。

「いつからいたの!?気付かなかったんだけど!」

「森中先輩と一緒に来たよ」

「嘘!存在感薄くない!?」

あまりに静かすぎて。
いつもならダブルピースキメてやっぴーーーーー!って来るのに。
豊か過ぎる表情筋も今日はお休み中かと思うぐらい動いてない。

「…そらぴょんどうかしたの?」

「え、なんでもないよ」

にこっと笑ってはいたけど、少し口元が動いたぐらいでにぱっと口を大きく開けたいつもの笑顔じゃない。
何かあったとしか思えないんだけど…
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