恋の♡魔法のチョコレート
「柳澤ちゃん、小鳩くんは?」

「あ、私が来た時にはもういなくてっ」

「そっか、どこ行ったんだろ」

森中部長がキレイに並べられたチョコレートをまじまじと見てる。やっぱみんな見たくなっちゃうんだ。

「すみません、遅くなりました」

「あ、お疲れ小鳩くん!チョコレートすごいね!」

ちょっとだけ遅れて小鳩がやって来た。
スタスタと入って来て隣に並んだから、つい小鳩の顔を見上げてしまった。

「…何ですか?」

「え、いや…っ。どこ行ってたのかなって」

「……。」

「別に深い意味なんかないよ!コミュニケーションだよ!」

「保健室です」

「あ、…大丈夫?」

何気なく言ったつもりだったけど、あんまり聞いてほしくないことだったかもしれないけど、答えてくれたことにちょっとだけ驚いて少しだけ嬉しくなった。

私のこと、認めてくれてるんだって。

「チョコレートさっそくありがとうね」

「いえ、時間があったので」

ここに並べてあるチョコレートは森中部長に頼まれて作ったものらしく、小鳩が家で用意してきたものらしい。

家でも作っちゃうってどんだけチョコレート好きなんだ。

「じゃあ話し合いを始めようかな!」

小鳩が作って来たチョコレートを囲むようにみんなで向き合って座った。

私の隣にはそらぴょん、前には小鳩、調理実習台を囲むって授業が始まるみたい。

「文化祭の模擬店はチョコ研らしく、チョコレートを出したいなと思ってる」

森中部長のリードで話が進む。それにみんなでうんうんと頷いた。

「だけど、数多く作るのは難しいかなって…小鳩くんに相談してたんだよね」

そっか、なるほど。

この目の前にあるのはその試作品ってことね。

でも森中部長もチョコレートを出したいって考えてることは非常に良き!私としても大賛成!

「アルミカップで作ったら可愛いデザインもありますし、見た目はいろいろ変えられます。シリコンから抜く必要もないですし、数も作りやすくはなると思います」

チョコレートにしか興味のない男・小鳩結都さすがペラペラと饒舌に話してる。

「ただ、同じデザインにはなるのでバリエーションとしては劣るかもしれません」

………。

今小鳩はお店にチョコレートが並んだとこを想像した。
言ってしまえばただの文化祭、そこまで先見据えてるのは小鳩ぐらい。

「そっかー…、手抜きっぽく見られるのは嫌だよね」

むしろアルミカップのチョコレートのが適度に可愛らしくて文化祭ぽいんじゃない?
< 63 / 159 >

この作品をシェア

pagetop