恋の♡魔法のチョコレート
「柳澤ちゃんと笹原くんは何か意見ある?」

「えっ」

「文化祭、何かしたいことある?」

「したいこと…」

私的にも小鳩がチョコレート作ってくれるならそれが1番ありがたいんだけど…、こんな手っ取り早くチョコレートが手に入ることないし。

だから何がやりたいかというと…

「やっぱり…、チョコレートは欲しいですね」

小鳩がどんな目で私を見てるか知らないけど、見る勇気もないけど、きっと絶対ほっそめた目で見てる。

いいんだそれでも!チャンスは逃したくない!

「そうだよね…、せっかくのチョコ研だしね」

うーん、と森中部長が腕を組んで悩んでる。

チョコレートって作ったことないけど、大変なのかな。

溶かして固めるだけかと思ってたけど、こんなこと言ったらまた小鳩に怒られちゃうのかな。

あとそらぴょん全然喋らないんだけど?

大丈夫??

「じゃあクッキーも作ろう!」

ひらめいた森中部長が顔を上げた。

「クッキーなら形次第で何でも出来るし、ラッピングもしやすくて、何より食べやすいよね!」

確かに…文化祭で売り上げを狙うならチョコレートよりもクッキーのがいいかもしれない。
小鳩はお菓子なら何でも作れそうだし、チョコレートの型取りよりクッキー型抜きのが簡単だしね。

でもそれだと小鳩にチョコレート作ってもらえない、…どうしたら小鳩がチョコレート作る展開になるかなって考えた。

「チョコレートは限定発売にしよう!」

考える必要もなかった。

森中部長もまだチョコレート諦めてなかった。

その名案にすぐに大きく頷いた。

「そしたら拘ったチョコレートにもなるし、よりレア感も増して、集客も増えるかも!部活になったから部費も上乗せしてもらえたんだよね!」

ニッと笑っている。

いや、悪い顔して笑ってる。

森中部長はやり手に違いない。

「限定ってした方がみんな欲しがるに決まってるしね」

調理実習台の上にひじを置いて手を組み、その上に顔を置いた。

「だって魔法のチョコレートだもんね」

そう勝ち誇ったように、微笑んで。

……、

……え?

魔法のチョコレートだもんね?

って、言った…?

「そんなわけで小鳩くんいいかな?」

「大丈夫です」

「じゃあそれで決まりね!文化祭、みんなよろしくね!」

小鳩は何も言わなかった。

私にはいつもそんなのないって否定して来るのに。


森中部長は全部知ってるの?


魔法のチョコレートの本当の意味を…?
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