恋の♡魔法のチョコレート
森中部長の言った魔法のチョコレートの意味が聞きたかった。

でも咄嗟のことに何も言えなくて、ただドキッとして終わってしまった。

森中部長の言ったことが気になって。

小鳩にも聞きたいことがいっぱいあって。

キレイに並べられたアルミカップのチョコレートを小鳩がひとつ手に取った。

「ねぇ、小鳩」

「何ですか?」

「小鳩は…いいの?」

「何がですか?」

手のひらに乗せて横から見たり上から見たり、いろんな角度からチョコレートを見てる。

「あ、持ち帰り希望ですか?」

「そうじゃないよっ、みんなで食べるの楽しいし!小鳩が作ったチョコレートが食べられるならそれはそれで嬉しいし!」

森中部長が小鳩が作って来たチョコレートをみんなで食べようって、そらぴょんと一緒に自販機に飲み物を買いに行ってくれた。

「そうですか」

「………。」

ゆっくりとアルミを剥がしていく、その手つきさえも繊細で丁寧だ。

「森中部長、魔法のチョコレートのこと知ってるんだね」

「…そんなものないですけど、噂じゃないですか」

噂を知ってる人は多いと思う。

恋する女の子たちが欲しがってるチョコレートだから。

でも森中部長の言い方は違ったように思えた。

私が思う魔法のチョコレートとは別の、だってあれは…

「利用されてるみたいじゃない?」

小鳩が作ったチョコレートを売り付けて資金を得てるのも気にはなった。

でもあれはまだ、需要と供給?っていうかWin-Winかなーとも思って。  

だけど小鳩の気持ちはどうなんだろう?
 
一生懸命作ったチョコレートをあんな風に使われて、嫌じゃないのかな…?
< 65 / 159 >

この作品をシェア

pagetop