恋の♡魔法のチョコレート
こっそり影を追っていた時からしたら全ッ然考えられなくて、今だってこれが現実かも半信半疑だし、心臓がドキドキしてちゃんと話せてるかも不安でしょうがない。 

でもせめて元気よく!

それぐらいしかできることがない。

「チョコレートは細かく刻んでおいた方がいいです!湯煎しやすくなるので!」

「なるほど、湯煎しやすくなるんだ!湯煎ね、湯煎か…で、湯煎って何?」

「すみませんっ、そうですよね!?情報が足りなかったですよね!?湯煎はですね…っ」

オージ先輩と2人きり、そんな状況夢にも見たことないんだもん。

小鳩に教えてもらったレシピを完全暗記し、幾度と重ねたシミュレーションをもとに、オージ先輩にお菓子作りを教えてる。

いつものこの家庭科室で。

珍しくチョコ研が休みだっていうから家庭科室貸してもらったけど、めっちゃ緊張する!
慣れた場所ならまだ平気かと思ったけど全然関係ない、ずっとドキドキ言いっぱなしだもん!

「おっ、溶けてきた~!」

隣でオージ先輩が湯煎してるんだもん…!

あんなに小鳩の湯煎は見て来たけど、全然違う光景だなぁ。

オージ先輩の手、キレイだな…

白くて女の子みたいだ。

小鳩はもっと指が長くて結構ガッチリしてるもんね。

だからなのかな、すること早いし。

でもしなやかで丁寧…


いやいやいや!
何小鳩のこと思い出してるの!


どう考えてもここは湯煎するオージ先輩をじっと目に焼き付けておくべきとこでしょ!

「詩乃ちゃん、次何したらいいの?」

「は、はい!次はですね!」

飽きるほど復唱した次の工程を練習通り述べた。

「薄力粉をふるいにかけます!それを混ぜ合わせればクッキーの生地の出来上がりです!」
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