恋の♡魔法のチョコレート
「よっしゃー!完成~!!!」

ひたすら塗り続けること1時間以上、やっと看板が完成した。頬に絵の具を付けたそらぴょんが両手を上げて喜んでる。

「これどこ持ってけばいいんだっけ?」

「多目的ホールに直接でいいんじゃない?」

「おっけ、じゃあ運ぶか!」

そらぴょんが看板の端っこを持った。だから同じように反対側の端っこを持った。

「よく取れたよね、多目的ホール」

「ん?あぁ、倍率高いんだってな!」

模擬店を出せるエリアは決まっていて、その中でも最も集客できる多目的ホールは1番人気の場所。
毎年取り合いが行われてるとかなんとか、とにかくそこで模擬店を出せるってすごいラッキーなことらしい。

それも全部森中部長がやってくれたんだって。

“部長がそうゆう面で動いてくれてるんです”

そう小鳩も言ってた。

LL教室から運び出す、ぶつけないようにゆっくりと。ここから多目的ホールへはちょっと遠くて、そらぴょんを先頭に後ろから看板を持って歩いた。

「笹原くん、柳澤ちゃーん!看板終わった~??」

前から手を振りながら森中部長が駆けて来た。それにわかりやすくピタッとそらぴょんの足が止まる。だから、終わりました~!って私が答えてあげた。

「看板ありがとうね!もう運ぶだけ?私も手伝うよ!」

サッと看板に手をかけ一緒に運んでくれようとした時、森中部長が“あっ”と呟いた。

「小鳩くんの方って行った?まだチョコレート作ってるよね?」

「たぶんそうです、私たちずっと看板作ってたんでどうなってるかわからないですけど」

「そっか、じゃあちょっと小鳩くんの方も確認しなきゃ…なんだけど」

うーんと唸りながら腕を組んだ森中部長が首を傾げる。

チョコレートを作ってる小鳩に、看板を作ってた私たち、だけど1番バタバタしてるのは森中部長で。

出店場所の打合せだったり、食べ物を出す際の最終確認だったり、とにかくいろんなところを回ってさすが部長ずっと忙しいみたいだった。

「看板の大きさチェックもあるし、私も多目的ホール行った方がいいよね…」

自由であり規則があるのが高校だから、その辺も厳しかったりするんだよね。

「笹原くんか柳澤ちゃん、小鳩くん見て来てくれない?」

「おっ」

「私行きます!!!」

左手で看板を落とさないようにバランスを取りながら、ビシッと右手を上げた。それですぐにそらぴょんにアイコンタクトをした。

“文化祭…、森中先輩と回りたいんだけど”

誘うなら今だ!
絶対今がチャンスだから、がんばって!

って思いを込めて。

そらぴょんはちょっとだけ戸惑ってたけど。
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