恋の♡魔法のチョコレート
そんなこと言っちゃったから、それはそれでいいんだけど、そらぴょんにもがんばってほしいし…

それは別のこととして置いといて。

家庭科室へ行くことになった、小鳩のいる家庭科室へ。

なんだろ、なんか変に緊張するんだけど。

ただ小鳩の作業どんな感じかなって様子見に行くだけなのに、ソワソワする。

心臓がソワソワ…

パンッと両手で両頬を軽く叩いた。

キリッと目に力を入れて、何もないから…そう心の中で呟いて。

すぅっと息を吸って勢いよく家庭科室のドアを開けた。

「こーばとっ」

その瞬間、ふわっとチョコレートの香りに包まれた。もうおいしそうな予感しかしない。

「チョコレート作りどう?終わりそう?」

ちょこんっと隣に並ぶと調理実習台には煌びやかなチョコレートたちが一面に並んでいた。

すごっ

「チョコレートは出来ました。あとはラッピングをすれば完成です」

「最初はアルミカップで作ってたのに、全然違うのになってるじゃん…」

りんごやパイナップル、いちごにぶどう、果物の形をしたチョコレートたちが一列に並び、ツヤツヤと光りを放ってる。

アルミカップにチョコレートを流してた頃とは全然異なる仕上がりになっていた。

「時間が出来ましたからね、みなさんが他の作業してくださったおかげです」

…小鳩はそんな言い方もするんだ。

してくださった、なんて大人みたい。

そこには敬意が払われてるように感じて、ただ邪魔だと思われてたあの頃とは言い方もまるで違う。

それは私にじゃなくて、そらぴょんにも、そして…森中部長にも。

「ラッピング、手伝ってもらえませんか?」

「うん、任せて!それぐらいならできるよ!」
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