恋の♡魔法のチョコレート
追加したクッキーもすべて売り切れ、文化祭は超超超満足で幕を閉じた。

終わってからも高揚感が抜けきれず、片付けだってちっとも嫌な気にならなくて、なんならついテンション高めでササッと終わっちゃうような…

気でいたんだけど。

しーんとした家庭科室。

まさかここで小鳩と2人になるなんて、ちょっと緊張した。

えーーー、えぇーーーー、何話そう!?

でもがんばったんだもんね、小鳩ずっと作ってたし、お疲れさま!とか言う入りでいいのかな…!?

「あ、小鳩…お疲れ。大変だったよね?」

「そうで…もないですよ」

テキパキと使った道具たちを洗って、拭いていく。私なんて必要ないくらい早い。

「そう?朝は店番で途中からずっとクッキー焼いてたんでしょ?」

「そうですね」

「大変でしょ!それは!」

「まぁそうですけど…、好きなんで」

何が?って聞きたくなった。

でも聞いたところで、小鳩は顔をしかめるだけだね。

その顔もちゃんと見れてないのに。

まだ甘ったるさの香り残る家庭科室、小鳩は今何を考えてるのかな。

教えてはくれないのかな…

チョコレートを辞める理由。

「柳澤さん」

「ん?」

「こっちはもう終わりましたけど」

「あ、ごめん!もう終わる!」

やっぱり小鳩1人で十分だったんじゃないかってぐらい早く終わった片付け、ササッと調理実習台を拭いて急いですすいでふきん用の物干し竿にかけた。

「これで庭科室の片付けは終わりですね」

「うん、そらぴょんと森中部長が多目的ホールの方片付けてくれてるからそっち行く?」

「そうですね…あ、その前にいいですか?」

小鳩が私の前に立ったから。

自然と頭を上げることになって、今日初めてちゃんと小鳩の顔を見た。

ドキンッと心臓が鳴った。

あれ、何これ…

なんで急に心臓が…
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