恋の♡魔法のチョコレート
「部長、ちょっといいですか」

隣でスッと手が上がった。手の上げ方も真っすぐでキレイだった。

「お話があります」

ドクンッと心臓が波打つ。

何?何の話?小鳩が森中部長にって…!?

「何、小鳩くん」

「あの…」

“チョコレート止めようと思うんです”

「私も話があります!」

小鳩の声に被せるように、負けないぐらいピシッと右手を上げた。そのまま間髪入れず割って入った。

「打ち上げしませんか!?売り上げもよかったですし、ここは盛大にお祝いでも!みんなで!!!」

小鳩の次の言葉を聞きたくなかったから。

嫌な予感がして、思わず強引に。

「ね!!!どう、そらぴょん!!」

「え、急に俺!?いーんじゃない!?すっげぇいいよ!」

誰を見ていいかわからなくてずっと黙ってたそらぴょんに投げかけた。きっと賛同もしてくれるだろうと思ってたし。

「ね、いいよね!どうですか、森中部長!」

やたら力が入っちゃって、ガンガン目が乾いた。

「楽しそう!いいね、やろうよ!」

「いいですよね、決まりですね!みんなでお菓子食べましょう!」

ノリ気で森中部長も賛同してくれた。

だからあとは小鳩も…って、控えめに隣を見た。

「………。」

全然理解できなそうな顔はしてるけど…

「どうかな…?小鳩は」

「…じゃあ、僕はお菓子を作ればいいんですか?」

え、話早い!!!

今ので瞬時に理解してくれたの!? 

そんなことは言ってないけど、作ってくれたら嬉しいし!

「…いいの?」

「チョコ研の僕の役目はそうですから」

「…もうチョコレート作らないって言ったのに?」

「作りませんよ、チョコレートは」

どうしてなのか、聞きたいのに聞けなくて。

だって教えてくれないんじゃないかって思うから。

ただ黙ったまま前を向くしかなかった。

少し俯いて。
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