結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
「俺が中にいるよ。菫花ちゃんがレジにいる方がたくさん注文入るし」

「そうでしょうか?」

「そうそう。菫花ちゃんが『ほかにご注文はありませんか?』って笑いかけると、男性客はだいたいもう一品オーダーしてくれるでしょ」

たまたまじゃないかしらと思いつつ、私は開店準備に入る。

「……ところでさ、菫花ちゃん。この前来た男はなんだったの? ナンパ? もしかして、ストーカーとか?」

オーナーの言う男性とは理仁さんのことだ。

突然訪れ、私と連絡先を交換して去っていった。オーナーからは、不審者がやってきたように見えたのかもしれない。

「問題ありません。彼はもともと知り合いですので」

さすがに『元カレ』『娘の父親』とまで打ち明けるのははばかられ、ざっくりとした説明をする。

オーナーはちょっぴり疑ったような目で私を見たあと「そっかー」と雑な返事をした。

しばらくそれぞれの仕事をこなしていたが、店を開ける直前、ふとオーナーが切り出した。

「ところでさ、前にブログの設定してあげたじゃん?」

「あ、はい。その節は本当にありがとうございました」

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