結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
「ふたりで過ごした時期と、その子の歳が一致している」

男性が取り出したのは、主婦向けの生活情報誌だ。

【シングルマザーの楽ちん素敵飯】――そんな特集が組まれていて、私がお弁当を持って微笑んでいる写真が掲載されている。

プロフィール欄には二歳の娘を育てているとしっかり書かれていた。

家計の足しにと受けた仕事だったが、まさかこんなに大きな写真が載るとは予想していなかった。

そこから足がついてしまうなんて。こっそり反省して目を逸らす。

「私とあなたが一緒にいたのは、たったの一週間です」

「それでも、わかるんだ。君は簡単に他の男に乗り換えられるような、器用な人間じゃない」

「あら、忘れてしまったんですか? 私はあなたと会って、半日もしないうちに体を重ねてしまったんですよ?」

今度こそ言葉に詰まる彼。

「私は、そういう女なんです」

「違う、君は――」

「たとえ、あなたの言う通りだったとしても、もう私は以前の私とは違います」

私は立ち上がり、両手を広げて見せた。

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