結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
「ええ。あなたのことがもっと知りたいです。でも、もう終わりにしますね。たくさん引き留めてごめんなさい」

これ以上は迷惑になるだろうと思った私は、ようやく時計を確認した。

もう日付が変わろうとしていて「こんな時間だったの……?」と驚く。

「深夜まで男を部屋に連れ込んで。本当に菫花は悪い子だ。俺以外にこんなことはしちゃダメだよ」

彼が自身の唇に人さし指を当てて言う。不敵な眼差しは、私をからかう気、満々といったところだ。

「あなた以外に、そんなことはしません」

すると、彼は面食らったように長い睫毛を上下させた。

「それは、俺が特別って意味?」

「もちろん。あなたは博識で話していてとても楽しいですし、もっといろいろ聞かせてほしいくらいで――」

「そうじゃないよ、菫花」

理仁さんはこっちにおいでと自身のソファの隣を叩く。私は不思議に思いながら彼の隣に移動した。

「いいかい? 今の質問には特別な意味がある。男はこうやって女性の気持ちを推し量るんだ。興味のない男にはきちんとノーを突きつけてやらないと、勘違いされてしまうよ」

これも後学のためだろうか、理仁さんが親切に教えてくれる。

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