結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
しかし私は「でも」と反論した。

「興味はあります。あなたが好きですから」

この数時間、たくさんお話を聞いているうちに、彼のことがとても好きになった。

もっともっと一緒にいたい気持ち。いつまでも彼の声を聴いていたい気持ち。

彼の時間を独占してしまいたいなんて、少し欲張りなことも考えてしまう。

他人にこんなことを思ったのは初めてだ。

「できれば、明日も明後日も、ずっとあなたとこうしていたいのですが……どうしたらいいかしら……ごめんなさい、迷惑ですよね」

この気持ちをどうやって収めればいいかと悩んでいると、彼の手が私の顎に伸びてきた。

「そんなことを言われたら、口説かないわけにいかなくなる」

くいっと顎を持ち上げられる。彼の端正な顔が近づいてきて、胸がとくんと震えた気がした。

口説く? 私を?

社交をするときは隣にずっと両親がいたせいか、男性から口説かれた経験のない私は、まるで別世界の出来事のようで、返す言葉をなくしてしまった。

ただじっと、彼の視線を受け取める。

「……それとも、そういう無垢な目をして、これまでたくさんの男を騙してきたのかな?」

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