結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
今日出会ったばかりの男性とこんなことをするなんて、思ってもみなかった。

けれど、不思議と後悔はない。彼が私に触れるたび、嬉しいとすら感じている。

きっと私は彼のことが大好きなのだ。尊敬を通り越して、男性として。

もしかしたら、これが恋というものなのかもしれない。

体から力が抜けるように、ふうっとうしろに倒れていく。いつの間にか彼が後頭部に手を回してくれていて、安心して身を預けることができた。

されるがまま、彼の下でじっとしていると、彼の体がわずかに離れていくのを感じ、目を開いた。

「男を知らないというのは、本当らしい」

「なにを確かめたんですか?」

「キスの熟練度」

思わぬ答えに、目を瞬かせる。そんなことがわかる彼は、きっと経験豊富なのだろう。

「私にあなたのお相手は務まりませんか?」

「慣れてなければいけないと、いつ言った?」

「上手な方がいいんでしょう?」

「いや」

彼がニッと口の端を跳ね上げる。優しかった彼の表情に、狡猾な、それでいて独善的な鋭さが宿った。

「なにも知らない君に教え込むのは、きっと楽しい」

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