結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
そう言って再び私にキスを与える。

今度はただ唇を重ね合わせるだけじゃない。水音を鳴らしながら唇を絡めて愛撫した。

じっとしてはいられなくなり、私は彼のジャケットを掴む。

体の内側から溢れてくるような、この熱い情動はなんだろう。これまでの人生で、向き合ったことのない感覚だ。

「ん……理仁、さ……」

「菫花。じっとしていて。大丈夫だから」

未知の衝動に怯える私をなだめると、理仁さんは私の唇に舌を差し込み、ゆっくりと口内を撫でた。

びくりと震えると、歯が当たってしまったのか「痛いよ、菫花」と甘く叱られた。

「ごめ……なさ……――」

「緊張しないで。すぐに慣れる」

彼の言った通り、体は早くも順応した。深い口づけの心地よさを知った唇が、彼を求め吸い付く。

ふたり、溢れ出る吐息を絡ませ合いながら、情熱的なキスを交わす。

「体の方も、教えていい?」

私は咄嗟にこくりと頷く。この苦しいほどの疼きを、彼が救ってくれると信じて。

「君の目はやはり節穴だ。俺はこんなにも悪い男なのに」

自分は悪人だとでも言いたいのか、彼は恥ずかしがる私のドレスを剥ぎながら、後ろめたそうに言う。でも――。

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