結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
「そんなことないです。私はきっと、正しかった……」

片手で体を隠しながら、もう片方の手を彼の頬に伸ばした。

初めて誰かに触れたいと思った。触れられてもいいと思えた。素肌を晒し、ひとつになりたいと願ったのだ。

これは罪なんかじゃない。きっと素晴らしいことだ。

「あなたのことが、こんなに大好きです。会ったばかりなのに、変ですね」

「菫花……」

理性を支えていたか細い糸が切れ、彼も、私も、なりふりかまわずお互いを求める。

私に話をしてくれていたときの優しい彼は、服を脱ぐとまるで別人のように力強く、気高い雄になった。

私よりもずっと太くて逞しい腕、広い肩、厚い胸板、筋張った首筋。それは猛々しいながらも美しく、私を魅了する。

とても硬くて温かい……。

私と彼の体は全然違っていて、まるで異なる素材で作られているかのよう。

「俺の体は珍しい?」

「私とは全然違うんですね」

「そうかな? もっとよく見ないとわからない」

彼は私の手を押さえつけると、胸に顔を近づけた。彼の唇が柔らかな肌にふんわりと沈み込む。

彼の舌が飴を転がすようにころころと動く。体中が甘くて蕩けてしまいそうだ。
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