結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
返事替わりにキスをされ、どくんと鼓動が跳ね上がる。

そんな私の反応をどう思っているのか、とくに触れることなく、彼は「ああ……」と気だるい声をあげて伸びをした。

「クルーズ一日目で女性の部屋に泊まるとか、兄さんに笑われそうだ」

ハッとして頬を染める。

クルーズ一日目で男性を部屋に泊めて、あまつさえこんなことをしてしまうだなんて。両親が知ったら泡を吹くかもしれない。絶対に秘密にしよう。

だが、理仁さんは隠しようがないだろう、部屋に戻ってこなかった弟を、きっとお兄様は心配している。

「怒られてしまうでしょうか……」

「いや。向こうも同じだろうし」

ん?と私は眉をひそめた。同じって……?

「もしかして、兄弟揃ってナンパ目的で船に――」

「いや、違う。俺の場合は、断じて違う。向こうは知らないが」

沈痛な面持ちで首を横に振る。

「……信じますよ?」

「ありがたいが、菫花はもう少し人を疑った方がいい。出会ったばかりの人と寝るのは、いけないことだ」

「もしかして、私のことも遊び人だと思っていますか?」

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