結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
グラマラス美女が理仁さんににっこりと微笑みかける。
妖艶な笑みは、男性の心を奪い去ってしまいそう。理仁さんの目が釘付けにされないかとハラハラした。
これが人生初の嫉妬なのだと思うと、それはそれで新鮮ではあるのだけれど。
「ああ、彼女はローマ出身なんだ。意気投合してね。理仁の隣にいる彼女は、もしかして……」
探るように言葉を切るお兄様に、理仁さんは少々面倒そうな顔をして私を紹介する。
「ああ、日本人だ。クルーズ初日に知り合った」
お兄様は女性から手をほどき、私の方へ踏み出してにっこりと微笑んだ。
「初めまして。兄の藤ヶ音煌仁です」
お兄様の名前を通じて、初めて理仁さんの苗字を知った。
藤ヶ音――なんとなく聞き覚えのある名前なのだけれど、どこで聞いたのだったか。
「初めまして。綿来菫花と申します」
握手に応えようと手を伸ばしたら、煌仁さんは私の指先を持ち上げ、手の甲にちゅっとキスを落とした。
まるで映画みたいな挨拶だわと驚いていると、理仁さんが煌仁さんから私の手を奪い返し、守るように抱き込んだ。
妖艶な笑みは、男性の心を奪い去ってしまいそう。理仁さんの目が釘付けにされないかとハラハラした。
これが人生初の嫉妬なのだと思うと、それはそれで新鮮ではあるのだけれど。
「ああ、彼女はローマ出身なんだ。意気投合してね。理仁の隣にいる彼女は、もしかして……」
探るように言葉を切るお兄様に、理仁さんは少々面倒そうな顔をして私を紹介する。
「ああ、日本人だ。クルーズ初日に知り合った」
お兄様は女性から手をほどき、私の方へ踏み出してにっこりと微笑んだ。
「初めまして。兄の藤ヶ音煌仁です」
お兄様の名前を通じて、初めて理仁さんの苗字を知った。
藤ヶ音――なんとなく聞き覚えのある名前なのだけれど、どこで聞いたのだったか。
「初めまして。綿来菫花と申します」
握手に応えようと手を伸ばしたら、煌仁さんは私の指先を持ち上げ、手の甲にちゅっとキスを落とした。
まるで映画みたいな挨拶だわと驚いていると、理仁さんが煌仁さんから私の手を奪い返し、守るように抱き込んだ。