結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
第一章 この体に運命を刻んで
彼と出会ったのは約三年前、私が二十三歳の時だ。
場所はヨーロッパ、地中海を巡る豪華客船の中。
ローマからモンテカルロ、マルセイユ、バルセロナと寄港しながら七泊八日で航行するクルーズ船の中は、海の上だと忘れるほどの大空間が広がっていた。
レストランやバーはもちろん、シアターやカジノ、フィットネス施設、免税のショッピングスペース、デッキには大きなプールまでついている。
もともと長距離航海用の船だ。何カ月暮らしても飽きが来ないレベルの娯楽施設が備わっていた。
部屋はすべてスイートルームで、上からプラチナスイート、ゴールドスイートと続き、クラシックスイートまでの五タイプが存在する。
上から二番目のゴールドスイートに、私は両親から勧められ、ひとりで宿泊していた。
メインデッキから数えて六階にあるゴールドスイートは、プラチナスイートにはかなわないながらもリッチな部屋だ。
食事ができるリビングに、ダブルベッド付きの寝室、リビングの大窓からベランダに出て、海を眺めることもできる。
私はベッドに座り、窓の外の青い海を眺めた。
「これも社会勉強、だものね」