結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
恥ずかしくなって口ごもると、理仁さんはとくに気にしていない様子で続きを切り出した。
「今は国際局で、外国為替に関する制度の強化や法令改正なんかにあたっているよ。一応、財務省といえば主計局がエリートの登竜門と言われていて、異動の話ももらったんだが、せっかくイギリスで経験も積んだことだし、もっと国際的な視野を広げたくてね。保留にしてもらっている」
「……すごいですね」
なんとなくは理解したが、具体的になにをしているのかはピンとこない。頭の中ではてなマークと闘っている私を見て、理仁さんは口もとを緩めた。
「つまらないだろ?」
「そんなことありません……!」
「俺も聞きたがりになっていい?」
ふとハンドルを握りながら彼が尋ねてきたので、私は首を傾げる。
「杏花が生まれたときの話を聞きたい」
どくんと鼓動が鳴った気がした。
杏花は理仁さんの実の娘――もちろん彼に伝えるつもりはないけれど、それでも杏花のことを彼が知っておくのは権利のような気がした。
「……杏花は生まれたとき、二六〇〇グラムでした。周りの子に比べて小さかったので、とても不安だったのですが、ぐんぐん大きくなって今ではすごく元気です。歩き出すのもとっても早かったんですよ」
「今は国際局で、外国為替に関する制度の強化や法令改正なんかにあたっているよ。一応、財務省といえば主計局がエリートの登竜門と言われていて、異動の話ももらったんだが、せっかくイギリスで経験も積んだことだし、もっと国際的な視野を広げたくてね。保留にしてもらっている」
「……すごいですね」
なんとなくは理解したが、具体的になにをしているのかはピンとこない。頭の中ではてなマークと闘っている私を見て、理仁さんは口もとを緩めた。
「つまらないだろ?」
「そんなことありません……!」
「俺も聞きたがりになっていい?」
ふとハンドルを握りながら彼が尋ねてきたので、私は首を傾げる。
「杏花が生まれたときの話を聞きたい」
どくんと鼓動が鳴った気がした。
杏花は理仁さんの実の娘――もちろん彼に伝えるつもりはないけれど、それでも杏花のことを彼が知っておくのは権利のような気がした。
「……杏花は生まれたとき、二六〇〇グラムでした。周りの子に比べて小さかったので、とても不安だったのですが、ぐんぐん大きくなって今ではすごく元気です。歩き出すのもとっても早かったんですよ」