結ばれてはいけない御曹司に一途な想いを貫かれ、秘密のベビーごと溺愛されています
「杏花。高いところは好き?」

理仁さんが尋ねると、杏花は一瞬きょとんとしたが、やがてこっくりと頷いた。

理仁さんは立ち上がり、杏花の両脇に手を差し入れる。「いくぞ」という声とともに、その小さな体を高く掲げた。

理仁さんが自分の背よりも高く杏花を持ち上げる。身長が百八〇センチ以上ある理仁さんは、手を伸ばすと二メートルを軽く超える。

「きゃははっ……!」

今まで見たことのない景色に、杏花の目が大きく見開いた。

「しゅごい! しゅごい!」

「あっちに、お空の線路があって、赤い汽車が走ってるの、見える?」

杏花はぱちぱちと目を瞬いて、遠くを見つめる。

「みえゆ!」

「あれに乗って走ろうか」

「うん、はしゆぅ!」

地面に下りた杏花だが、たかいたかいが気に入ったようで「もっともっとー」と理仁さんの足元にしがみついた。

「菫花。杏花を肩車していい?」

「いいですけど……重いですよ? 腰を痛めちゃうんじゃ」

「心外だな。俺をおじいちゃんかなにかだと思ってる?」

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