形のチカラ
謎のLINE
入学式の前日に突然のLINE
金川ササのスマホが鳴る。
長かった受験生活も乗り越え、明日は高校の入学式。
午前0時、目を閉じて眠りを誘っていたがLINEの通知音に目を覚ます。
こんな夜中に誰だろうか。
画面には知らない名前。
林葉?
トーク画面を開くか迷うが気になったササはボタンを押した。
[坂差高校に入学する林葉です。
入学式の前日にすみません。
金川ササさんですか?]
気味が悪くなったササは待受画面に戻す。
また通知音が鳴る。
ササは溜息をつきながらトーク画面を開く。
[林葉チカラと言います。]
[なんでしょうか?]
数分間、悩んだササは冷たく返信をした。
[僕のこと覚えてますか?]
頭の中をフル回転させたが覚えはない。
[すみません、ご存知ないです。]
[そうですか。
では、今から仲良くなりましょう!
同じ高校に通うのも何かの縁ですし。]
ササはしつこさに頭を抱えた。
めんどくさいから相手するか。
[わかりました。
同じクラスになるかはわからないですが、
よろしくお願いします。]
[なぜ私のLINEを知ってるんですか?]
ササは気味が悪く素直に聞いてみた。
[僕の友達と金川さんの友達が友達で教えてもらいました。]
私の友達…。
ササはしばらく考えた。
[もしかして、有坂葉弓を知ってますか?]
有坂葉弓は同じ中学校で坂差高校へ進学する唯一のクラスメイトだ。
[有坂葉弓…そんな名前だったかな]
ササは不信感しかなかった。
林葉は次から次へとLINEを送ってくるので通知音がうるさい。ササは通知をオフにした。
トーク画面を見ると既読にしてしまう機能を心から邪魔だと思った。
既読と表示された瞬間に林葉ならLINEが届く。
[そういえば、なぜ坂差高校へ進学を?
よく難関校に入りましたね。
将来は医者を目指してたり?]
ずかずかと話を進めていく林葉にイライラしてきたササは目を閉じた。
このまま寝てしまえばいい。
どうせ同じクラスなんかにならない。
眠気が心地よくなってきた時だった。
通知をオフにしたのに通知音が聞こえた。
暗闇で点滅する赤色が知らせていた。
「もう!」
大きな声が部屋に響いた。
ササは仕方なくトーク画面わ開いた。