美しきハイスペ御曹司は、今日も彼女を溺愛する

｢ん？バイク？｣
店の前に、昌磨のバイクが停まっていた。

｢乱磨がさぁー
15分で来いって言うんだもん！
大学からここまでだよ？(笑)
だから、昌磨に借りたの｣
｢そっか…｣

｢季帆ちゃん、はい！｣
微笑み、ヘルメットを渡してくる神威。

｢………｣
｢季帆ちゃん？｣

｢……神威くん｣
｢ん？バイク、怖い？｣

｢ごめん…なさい……｣

｢え……どうして、謝るの？｣
季帆は、泣いていた。
季帆の視線の先には、真っ赤な神威の手。

さっきまで沢山の男達を殴ったからだ。

季帆は、優しく神威の手を掴んだ。
｢私のせいで、こんな……！｣

｢季帆ちゃんのせいじゃないよ！ほんとだよ？｣

｢私、強くなりたい！｣

潤んだ目で、しっかりと神威を見据えていった季帆。
｢季帆ちゃん…｣

｢神威くんに、暴力をふるわせないように。
もう……傷つけないように。
私も、一生神威くんの傍にいたいから！｣

｢うん、うん！
でも、季帆ちゃん！
めっ！！｣
季帆の頭の上に手を乗せる。

｢季帆ちゃんを守るのは、僕の特権！！
僕の仕事、取んないで！！｣

｢でも…私も━━━━━んんっ！！｣
季帆の口唇を奪う。

｢…………季帆ちゃん｣
｢ん…｣

｢その気持ちだけで、十分だよ……！
大丈夫。
暴力は、季帆ちゃんを守る時だけにする。
だから、そのままの季帆ちゃんでいて？｣
季帆の口唇をなぞり言った。

｢うん、わかった｣
｢ん。よし！さぁ、帰ろ？
帰って、ラブラブしようね～！｣

そして神威は、季帆の頭にヘルメットを被せた。
季帆をバイクの後ろに乗せ、季帆の両手を自分の腰に回して“しっかり掴まっててね！”と微笑んだ。

バイクが、エンジン音を鳴らし走り出す。
神威にしがみついて、見上げた。

神威の背中が、温かくて安心する。

｢神威くん、好き。大好き……！｣
｢………｣
エンジンの爆音で、聞こえるわけがない。
それでも、言わずにはいられなかった。


“神威くんに相応しい女になりたい”

季帆は、そう思うようになっていた。