美しきハイスペ御曹司は、今日も彼女を溺愛する
次の日━━━━━━━

「季帆ちゃーん!まだぁー」
パタパタ…とスリッパの音がして、季帆が駆けてくる。
「ごめん、遅くなっ……て……
ん?神威くん?」

固まる神威に、季帆も固まる。

「季帆ちゃ…/////ヤバい…それ…」
口元を手で覆い、呟く神威。

「え?ヤバい?
私、着こなせてない!!?
………………あ、あの…わ、私…着替えてくる!」

慌てて踵を返し、室内に向かおうとするとふわっと抱き締められた。

「え……神威…くん?」
「違うんだ!
ヤバいってゆうのは、季帆ちゃんがあまりにも可愛いくて……/////
葛藤してたの。
誰にも見せたくないなって。
でも、僕の彼女!って見せびらかしたいって!
矛盾と闘ってたの(笑)」

「じゃ、じゃあ…に、似合ってる、かな…?」

「うん!凄く可愛い!!」
「良かった……」


目的地の大きな公園に向かう。

「凄いね!満開だ!
やっぱ、お花見今日にして良かっ………ん?神威くん?」
神威は、季帆を見つめていた。

「ん?」
「いや、ん?は、私のセリフ。
どうしたの?」

「ううん!」
「…??
もう少し、向こうに行ってみない?」
首を少し傾げて言った、季帆。

神威は、にっこり笑って頷いたのだった。


神威は、ひたすら季帆を見つめていた。

可愛いなんてレベルじゃない。
可愛すぎて、片時も目を離したくない。
日に日に美しくなっていく、季帆。

実は最近の神威の心の中は、常に荒れていた。

出来ることなら、あのマンションに閉じ込めて囲ってしまいたい。
“支配欲求”なんて、自分には皆無だと思っていた。
そんな息苦しい感情なんて、あり得ないと。

「神威くん」
「ん?」

「お腹すかない?何か、食べようよ?」
「うん、そうだね!」
微笑む季帆に、神威も微笑み返しながら“季帆ちゃんの目に映るモノ、耳に聞こえる声、全てを一人占めしたい”と狂おしい思いに埋もれていた。

「私、なんか買ってくるね!
あ、そこのたこ焼きでいい?」
「え?季帆ちゃん!?」

一人で行こうとすると、腕を掴まれた。
「え!?神威くん!?」

「一人で行かないで!」
「え……」
「危ないから!」

「でも、すぐそこだよ?」
「季帆ちゃん、わかってないみたいだから言うけど、季帆ちゃんを拐うなんて簡単なんだよ?」

「え?さ、拐うって…」
「だから、ダメ!
はい!僕と一緒に行こ?」

「あ、うん」
しっかり手を握り合い、出店に向かった。

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